「宣誓、 我々はスポーツマンシップにのっとり正々堂々と・・・」
甲子園などのスポーツの大会で、選手宣誓の際に、
よく聞かれるこの言葉。「スポーツマンシップ」。
この言葉、よく聞きはするけど、あらためて意味を問われると、
答えに窮してしまいます。そういえば、学校では教えてくれなかったよなぁ。
辞書(大辞林)で調べてみるとこの「スポーツマンシップ」、
『スポーツマンの備えているべき精神。』とあります。
なんだかわかったようなわかんないような説明ですねぇ。
この「スポーツマンシップ」という言葉の重要性に気づいて、
この「スポーツマンシップ」という言葉の普及活動をされているのが、
スポーツ総合研究所所長の広瀬一郎さん。
スポーツビジネスの世界でいろいろな実績を残されている広瀬さんが、
『この言葉の意味を正確に理解し、身に着けていくことは、
スポーツの強化にも繋がるし、ひいては、社会にも良い影響を与える』
という信念を持って、現在が力を入れていらっしゃるのが、
「日本の小学校段階でのスポーツマンシップ授業の普及」。
この普及活動を進めていくために、
広瀬さんは、ビデオ教材を作成し、
全国の小学校に配布するというプロジェクトを推進しています。
で、水曜日、僕はこのビデオ教材(ジーコ監督や加藤久さんも登場!)の
鑑賞会があるというので行ってきました。
特定非営利活動法人 横浜スポーツコミュニケーションズ主催
フットボール道場 番外編
スポーツ総合研究所作成 「スポーツマンシップ教材ビデオ」鑑賞会
広瀬さんも来て、制作にいたるまでの経緯や、
今後の展開についても語っていただけるというし、
実は、僕自身ここ最近読んだ本の中で、
一番文章がすーっと自分の中に入ってきた本が、
広瀬さんの『スポーツマンシップを考える 』という本だったので、
その本の内容が映像化されたものが見られる
そういった期待感も持って参加してきました。
そこで見てきたビデオ、その内容にほんと感動させられましたし、
考えさせられる事が多かったです。広瀬さんが小学生相手に
授業をしている映像がほとんどなのですが、
小学生でもわかるレベルでスポーツマンシップについて説いています。
ここでは、その僕が見てきたビデオについて
web上レビューをしてみたいと思います。
■まずスポーツとは
スポーツマンシップに含まれる言葉、スポーツ。
まずはこの言葉から考えてみましょう。
この言葉も、非常になじみがありますけど、
改めて説明しようとすると難しい言葉です。
「スポーツ」=「運動」だと思っている人もいるけどそれは違います。
赤ちゃんのハイハイは、運動とは言うけど、スポーツとは言わないから。
運動に何かが加わったもの、これがスポーツだといえるでしょう。
「スポーツ」=「運動」+「 ? 」
広瀬さんは「 ? 」に当たるもの、これは「ゲーム」だと説いています。
「スポーツ」=「運動」+「ゲーム」
じゃー、「ゲーム」ってどういうものなんでしょう?
■ゲームとは
ゲームとは、
「ルールがあって」
「自主的に・楽しむ・遊びであって」
「競う」
ものだと、広瀬さんは小学生に語りかけてます。
で、ゲームが成り立つためには、次の3つが必要です。
「ルール」
「相手」
「審判」
ゲームとは、競うものであるのだから、
どちらが勝者か基準となる「ルール」が必要だし、
当然、「相手」が必要だし、
どちらが勝者か判断する「審判」という第3者が必要になります。
これらのどれが欠けても
スポーツは成り立ちません。
■弱い相手に勝って楽しいか?
広瀬さんは、児童たちに聞きます。
「たとえばサッカーの試合で、
・自分たちよりも下の学年のチーム
・相手の主力がかけているチーム
・フルメンバーのチーム
どのチームに勝ったら楽しい?」と。
子供たちは答えます。
「フルメンバーのチーム」と。
そう、相手の強さを認めて、
それに勝つ、もしくは勝とうとするから
スポーツは楽しいのです。
相手の強さが認められない相手に勝っても楽しくはないのです。
■スポーツマンシップとは、尊重する心構え
スポーツは、強さを認めた相手に勝つから楽しい。
つまり、
相手を認めること、
相手を尊重すること
がスポーツにとってはそれが大事なことになります。
しかも相手も含めて、先ほどあげたスポーツに必要な3つ
「ルール」
「相手」
「審判」
を尊重すること、これが必要になります。
これらを尊重すること、その心構え、これのことを
スポーツマンシップといいます。
尊重することがスポーツの根底には必要なのです。
■試合途中、選手交代を告げられたら
試合の最中、選手交代を告げられて、
ふてくされた態度を取ってしまう選手がいます。
これはスポーツマンシップがかけた態度だといえます。
なぜなら、
交代で出てくる選手を尊重した態度とはいえないからです。
交代で出てくる選手を尊重するのであれば、
その選手が気持ちよく活躍できるような態度をするべきなのです。
尊重する心構えがない人は、スポーツマンとは呼べないのです。
■スポーツマンはGood Fellow
イギリスの本には、
スポーツマンシップとはGood Fellowになることと書いてあるとのことです。
Good Fellowとはよき仲間という意味。
お互いが尊重しあえるから、
「Good Fellow=よき仲間」になれるのです。
だから、このスポーツマンシップという心構えは、
スポーツだけじゃなく、さまざまなことに通じるのです。
スポーツをやる人たちだけでなく、
スポーツを見ている観客や、その他の人たちにも
通じる考え方なのです。
◇
このビデオを見ていた同時刻、
仙台スタジアムでは、ベガルタ対ヴォルティスが行われていました。
一部心無いサポーターが過激な表現を使ったダンマクを張り出したり、
試合後選手に向かって物を投げたりしました。
自分達の仲間に対してすら、尊重することのできない人達のニュースを聞いて、
僕は愕然としました。
確かに、僕も、気持ちのこもっていないプレーをする選手に対しては腹も立つし、
意味不明な選手起用をしている監督にはむかつくし、
ビジョンの見えないフロントには怒りを覚えます。
だけれども、だけれども、
暴力に訴えて言い訳がないでしょう。
個人に向かって「死ね!」なんてダンマク掲げるのはおかしいでしょう。
昨日、広瀬さんが言っていた言葉。
「二十歳を超えた人間が、
いまさらスポーツマンシップを身に付けるのは無理!
なぜならそれは、美意識だから。
子供の時の躾が大きな影響を及ぼすから」
だから、広瀬さんは子供達にスポーツマンシップを
教えるプログラムを進めているのだという。
大人になってしまった僕たちにはもう
スポーツマンシップを身につけるのは手遅れなのかもしれない。
スポーツマンシップを身につける努力は無駄なのかもしれない。
でも、やる。やらなければならない。
よりスポーツを楽しむために。
よりスポーツがある幸せを感じるために。
皆がGood Fellowになるためには、
一人ひとりが考え、意識し、行動するしかないんだよ。